「イソップ」
図01あらすじ
 私立楓学園に通う気弱な少年、立河祥吾は、級友におどされて教師のスカートをめくるはめになります。教師のはげしいいかりは祥吾を退学へと追いこみまし た。やむなく地域の小学校へ転校した祥吾はイソップとよばれる磯田草馬とだぼだぼのジーパンをはく柏木千里に出会います。草馬は虐待の傷を笑顔でつつみ、 千里は兄を亡くした痛みをいかりでつつんでいました。最初は反発していた祥吾でしたが、ふたりの痛みと向き合ううちに、深い友情を感じていきます。また、 祥吾の姉、安結は親の希望と自分の夢のギャップに悩みますが、祥吾のはげましを受けて農業の道を選択します。

図02感動した場面
イソップが自分の秘密を祥吾と千里に話す場面が心に残りました。イソップが父親に虐待されていたこと、父親が借金をして苦しい思いをしていたこと、ある日 母が海に行こうと言ったこと、海に向かって車がダイブしたこと、イソップだけ助かって父に「なんで母さんや妹を守らなかったのか。」となぐられたことを泣 きながら笑って言いました。そのとき、祥吾が「笑うなよ、イソップ!おこれよ!」と言いました。このとき祥吾は友達のためにはじめて泣きました。そんな祥 吾の心の成長とイソップのつらさを感じ、感動しました。 

図03感想・学んだこと
イソップ物語は古代ギリシャで生まれ、世界じゅうで語りつがれてきました。擬人化された動物たちがくり広げる三編以上もの寓話には人の心の弱さやおろかさ が鏡のように映されています。キツネたちの失敗と成功は体験の少ない子供たちに貴重なアドバイスを与えてくれると思います。草馬のように虐待や育児放棄な どで実の親のもとにいられない子供たちは残念ながらふえています。また、親の死亡や病気などで家庭で生活できない子供もいます。そうした子供たちにとって ママちゃんのような「養育里親」は、なくてはならない存在です。「生まれて、愛をそそがれて、心が育ち、大人になる。」とママちゃんはいいます。それが人 の「心の循環」だとしたら、大人たちは小さいもの、弱いものへ、いっぱいの愛をそそいでいかなければと思います。 

図04おすすめ
この本は、作者の青木和雄さんが「心の循環」というテーマで子供たちの希望あふれる未来を願いつつ著した本です。この本はほんとうの友達を見つけるために 大切なことをうったえかけます。この本は「友達」がなにかわからなくなったときに読むといいと思います。ある事件がもとで自主退学させられた祥吾。虐待の 深い傷を笑顔でつつんでいた草馬。兄をなくした痛みをいかりでつつんでいた千里。広い知識の持ち主である康之。親の希望と自分の夢のギャップに悩む祥吾の 姉安結。この五人の心の成長が友情、兄弟愛を中心にしながら描かれています。イソップ物語もつかわれている感動の物語です。


図05主人公だったら
わたしがもし主人公の立河祥吾だったら、親の希望通りにさせられ期待までされて肉体的にも精神的にもつかれて苦しむと思います。磯田草馬(イソップ)や柏 木千里をみてもすぐには受け入れられないと思います。でも、安結のような自分をよくわかってくれている姉がいれば少しは気が楽になると思います。そしてマ マちゃんのような「養育里親」みたいに尊敬できる人、支えになってくれる人がいれば親にも自分の気持ちを伝えられると思います。

図06読みたい本
これからわたしはいじめ・差別・受験などで苦しむ人が最後に立ち上がり自分の意見を伝えるという感動的な物語を読みたいと思います。そしてこれからの長い 人生になにかつながるようなことを学びたいと思いました。大きくなったとき、「あの本を読んでよかった」と言えるようにしたいです。筆者の考えが述べてあ るあとがきもしっかり読みたいです。